2006全国花火競技大会(大曲の花火)
2006.8.26開催分 ※秋田県大仙市


 家を出発したのは前日(25日)の午後9時過ぎ。走り始めてすぐに「よし行くぞ!!」と気合いを入れる。こうして気合いでも入れなければ、ちょっとツライ距離なのだ、大曲は。
 ここから約640キロの彼方に夢の観覧席がある。もしもこれが大曲の花火ではなく、友人の結婚式ならばゼッタイに欠席する距離だ。丁寧に詫びを入れ、祝金だけ送って済ませてしまうに違いない。では大親友の結婚式ならばどうか……? ま、行くだろうが憂鬱な気分になるのは間違いない。何でそんな遠くでやるんだよ、と心の中で悪態をつきまくってしまう筈だ。なのにどうして大曲の花火だとそれが当然の如く向かってしまうのだろうか……。既に頭の中は「良風祈願」一色に支配されていた。

 東名高速から首都高に入った。渋谷を過ぎ、六本木ヒルズが見えてきた。ふと、ここに住んでる人の中にも、大曲に向かう人はいるのだろうかなどと考えてみる。ま、居たとしても不思議ではないけれど、僕のようにETC割引がどうの、朝5時の場所取り解禁時には思いっきりダッシュするぞー、なんていう奴は居る訳がない。それにしても、なんて素晴らしい建物なのだろうか。
 都内を抜けて東北道に入った。さぁ、気合いを入れ直す為にも一服だ。今日も元気だ、煙草が旨い!!(ちょっと古すぎたか)
 そうだ、タバコといえば年々喫煙者の肩身は狭くなり、ゆっくり気兼ねなく吸えるのはいまや車内ぐらいなもんかもしれない。なんでも巷では喫煙者撲滅大作戦が展開されているようで、何年か後には現在の半数まで喫煙者数を減らす目標が掲げられているとのこと。世の中は矛盾だらけだなぁ、売っていいよ、買っていいよという人と、吸ってはダメだという人が同じ役人さんたちだもの。でもねあわよくば、その半数の中に入っちゃおうかな、ってふと思ったりなんかしてるんだ。そのうちには辞めなきゃなって。

 那須高原を通り過ぎ、須賀川あたりに差し掛かった頃だった。FMラジオから突然聴こえてきた「花火」という言葉。どこの放送局なのかは知る由もないけれど、「花火」が歌詞にある歌を特集しているという内容だった。聴きながらひたすら走り続けた。やがて電波が遠くなり、途切れ途切れになってしまってもそのままにしていた……。とてもいい番組でした。

 秋田道大曲IC手前で夜明けを迎えた。疲労感はあるけれど、それでも朝もやの中の風景を眺めると、清々しい気持ちが満ちてきた。今年も来れたんだなぁ、と。
 会場到着は若干遅れて5時10分。既にゲートは開いていて、人々が小走りに駆け回っていた。いったいこんな早朝にどのくらいの人が居るのだろうか。2千人〜3千人ぐらいだろうか。とにかく猫の額ほどの一般観覧席(なだらかな斜面部分)を目指し、僕もひたすら猛ダッシュ(傍から見たら小走りそのもの)。ハァハア言いながら辿り着いたが、もうすべてキレイに埋まっており、1.8m×1.8mのシートを敷ける場所はどこにも無かった。仕方なく1.2m×1.0mくらいにシートを折り畳んで、隙間に観覧ギリギリのスペースを確保した。時刻を確かめると、午前6時過ぎだった。とにかくセーフ。いまの所、風もいい感じ。
 普段なら場所取りの後は周辺の観光地に向かうのだけど、ここは天下の大曲、下手に動くと大渋滞に巻き込まれて戻って来れなくなる。とにかくクルマに入ってひと眠りしよう。長い一日になるのだから。



 正午過ぎ、いよいよ会場へと向かう。常設された方向看板(2枚目の写真)を目にし、大仙市最大のイベントがまさに今日これから行われるのだと暫し感慨に浸ってみた。
 看板の向こうの空に目をやると、今朝から変わらぬ青空が広がっている。とにかく天候に恵まれて助かった。風もある。嬉しくて仕方ない。花火観覧の旅を繰り返していると、天気や風に対しての思いはとても強い。この日はちょっと風が強め(局地的につむじ風が発生して、露店のテントが飛び怪我人が出たらしい)だけれど、そのお陰で幾分過ごし易いのも確か。始まる頃に弱まってくれれば申し分無いんだけどと、好都合なことばかりを天にお願いしてしまう。
 遠く停めた駐車場から約1時間を費やして、やっとのことで会場に辿り着きました。

 一番上の写真はその時写したもの。入口ゲートから撮ったものだが、午後1時の時点で既にこの状態。さすがは大曲、出足が早いなんてもんじゃない。荷物を観覧場所に置いた後、さっそく食事を摂りに会場外へと繰り出した。

 大曲に来たら、まず僕は名物ババヘラアイスへ。暑い中、秋田美人のおばちゃんが売っているからか、行きと帰りにも買ってしまう。きりたんぽやうどんはもちろんのこと、鮎の塩焼きとか地場産のスイカや茶豆など、雰囲気を愉しみながらの食べ歩きを満喫し、日陰で暫し休みながら、大会プログラムをめくる幸せはまた格別で……。



 午後5時、いよいよ2006全国花火競技大会が始まった。
 まずは昼花火競技(全国でも競技大会は大曲だけ。5号早打ち5発)の部。
 昼花火とは、光の代わりに色のついた煙りで模様や色彩を表現する花火のこと。名前の通り明るいうちに揚げる花火で、色煙(紅・黄・青・緑・紫・茶・黒や灰など)は想像を超える鮮やかさ。種類はだいたい2種類で、煙竜(狼煙みたいな感じ)と、一般的な花火と同じ丸いタイプ(割物)のものがあり、風に流されて様々な形に変化していくさまはとても興味深く見応えがある花火です。観たことない方はいまいちピンとこないかもしれないけれど、とてもイイです。ぜひ来年の大曲で初観覧を。

 太陽が沈んでまだまもない午後6時50分、夜花火競技がその幕を開けました。第80回特別プログラム「7号玉80発打ち上げ」が揚がり、オープニング花火、標準審査玉と続くと、60万人とも70万人ともいわれる観覧者のボルテージは急上昇していった。
 長岡同様、ここの一般自由席は苦労して確保した者ばかりが集う花火ファン聖域の場所(3枚目の写真)。それだけに反応も俊敏で、素晴らしき作品には悲鳴にも似た声と拍手が巻き起こる。特に優勝候補煙火店の番になると、辺りはただならぬ静寂に包まれる。今まさにその時、早くも大注目の煙火店が登場するのだ。
 エントリーNo.5、野村花火工業さん。紹介アナウンスの後、すぐさま発射音が響き渡った。
 僕も含めて周囲に驚愕の声(全員溜息混じりの、おおー!!)が轟いた。五重芯冠菊が、はっきりとその姿を夜空に現した瞬間だった。信じられないくらいの完成度だった。
 直径僅か30センチの玉が大空で開発し、300メートルの神々しい球体となって人々の瞳に焼き付き、そして尾を引いて一斉に消えていった。まさに夜空の芸術。花火界の快挙。後にTVで知ったことだが、制作者は未だ30代の若き花火師さんとのこと。出品秘話を知って、感動をまた新たにした。野村花火工業さんは、なんて素晴らしい会社なのだろう。考え方がピュアで真摯でフェアなんですね……。
 野村花火工業さんに限らず、各煙火会社には2代目、3代目の後継者や、若き花火師たちが続々と入社され、日々花火制作に熱き情熱を傾けられてることだろう。5年後、10年後の大曲には、いったいどんな花火が出品されるのだろうか。今から楽しみで仕方ない。
 紅屋青木煙火店さんや磯谷煙火店さん、菊屋小幡花火店さんの出品作品も素晴らしかった。そして何より、神明の花火を根底から支えられている斎木煙火本店さんのエントリーは何よりも嬉しく、大声援を観覧席からおくらせて頂きました。

 なんか取り留めのない観覧記となってしまいました。すみません。
 最後に1点だけ、本当にやんなっちゃったことがありますので書かせてください。それは、憎きバルーン照明の奴です。なんと大会提供花火の少し前から点き始めやがりまして、まぶしいったらなんのって、せっかくの花火が興醒めだっちゅうの。
 それから終了まで、延々とフル光量で点いてやがってですねぇ、花火鑑賞に集中できませんでした。階段部分の安全確保照明ならば、傘の付いた足下を照らすタイプの照明機器でお願いしたいです。だいたいバルーン照明はさあ、全方向拡散タイプの照明機器でしょー。ちょっと頼みますよ、ホントにぃ〜。


大会提供



フィナーレ




 ※2006.10.18観覧記公開 ※2016.1.21 動画再アップ+加筆修正